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グランド・セオリーと学際研究
昔、日本にはどんな内容の話題でも絶対に議論に負けない学者が数多くいたそうだ。大塚久雄、丸山真男、川島武宣など。

彼らはなぜそれほどまでに議論に強かったのか。

その理由は、宮台真司によると、理論学習の方法にある。
昔は大学生の頃からケインズやマルクスの理論を徹底して学習することが当然であった。立派な理論を勉強していたから彼らは議論に強かった、と言いたいのではない。ここで言いたいことは、あらゆる学問に当てはまるような理論(グランド・セオリーまたは一般理論)を徹底的に学習していたから強かった、ということである。となると、そういう人たちは話をするとき、どのような話題でも(社会についてでも、経済についてでも、技術についてでも、家族についででも、性についてでも)、一貫した理論的バックボーンを持った状態で議論していることになる。それゆえ、たとえ経済学者であっても、宗教の話題について宗教学者との議論が成り立つという状況があった。「それはぼくのせんもんじゃないからわかりませーん」などという人はいなかったのである。
参考URL:グランドセオリーとはなんぞや? http://www.miyadai.com/texts/virtual/01.php

翻って現代を見ると、かねてから指摘されているように、学問は専門分化が進み、自分の専門以外の話題でも議論のできる学者は減っている。このことは、グランド・セオリーの研究が疎かになり、あらゆる分野を統合するような理論が生まれていないためであると考える。学問の専門分化が進めば進むほど、自分の研究したい分野の勉強をするときには細分化した理論(いわば、マニアな理論)の勉強に時間を割かねばならない。そうなると、時間の都合上、分化した理論の土台となっているグランド・セオリーの学習がどうしても手薄になってしまうのである。まして、専門分化がどんどん進んでいるのなら、なおさら細分化した理論の学習に時間をとられることになる。そうして、グランド・セオリーの学習が疎かな学者が生まれる。そうした学者に育てられる学生は、グランド・セオリーの学習が手薄になっている教官から教わることになるため、そうした学生もまたグランド・セオリーの学習が手薄になる。こうして新たにグランド・セオリーが手薄が学者が世に輩出されることになるのである。そこには極めて深刻な負のスパイラルが存在する。

もう何年も前から、こうした専門分化の進んだ状況を反省する動きが存在する。いわゆる学際研究である。こうした分化から統合への流れ自体は現在でもあるのである。しかし、にもかかわらず、近年に新たなグランド・セオリーが生まれたという話はあまり聞かない。学際研究自体は数多くあるものの、うまくいっているものは極めて稀なのであろう(ウォーラーステインの世界システム論は近年生まれた理論の中でも数少ない成功したグランド・セオリーと言えるかもしれない)。

学際研究の成功例が少ないのは、その教育方法に大きな問題があるためと考える。例えば経営情報学を研究するとなったとき、学生はまず経営と情報を勉強させられる。これは順序としては大きな誤りである。学際を研究するとき、まず、あらゆる学問の土台となっているグランド・セオリーの勉強から始めなければならない(その理由はこれまで述べてきたとおりである)。まずは、視野を広く持つ訓練をして、その上で、経営と情報の勉強をして、初めて学際研究が始まるのである。ただ、これには極めて長い時間がかかる。おそらく大学の4年間(場合によっては6年間)はわき目も振らず勉強しなければ成り立たないようなカリキュラムになるだろう。しかし、結局、学際とはそういうものなのである。学際研究で優れた理論を構築するというのは、内容如何によっては、新たにグランド・セオリーを構築するということでもある。相当な時間と覚悟が必要である。そして、そうしたきわめて長い時間を費やして若者を教育するような機関は今の日本にはまずない。だから、気付いた人が自分ひとりででもグランド・セオリーの訓練からやるしかないのである。
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