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ウェイなき者はみな滅ぶ
ソニー停滞の原因を、経営の精神の観点から掘り下げてみる。
下に経営の精神についてかんたんにまとめておく。

市民精神:勤勉、従順など社会の秩序を尊重しそれに順応しようとする精神
企業精神:創造的破壊、情熱など既存の秩序を超克しようとする精神
営利精神:抽象的な利益にこだわり、そのために合理的判断を働かせようとする精神
この3つの精神のダイナミズムで資本主義の企業は成り立つ。

ソニーでVAIOやスゴ録を手がけた辻野晃一郎(以下の書籍の著者)の行動を見てみると、将来価値に重きを置いた製品展開をしていることがわかる。例えば当時のソニーの新しいテレビとして、辻野氏はコクーンの開発に着手した。そのときに重視していたのが、将来の家電の方向性についての議論であった。つまり、開発の段階で、何を出せば売れるのかを議論するのではなく、今の家電を将来どう変えていきたいのか、そしてその将来像に向けた第一歩としてどのような製品を開発すればよいのか、そうしたことの議論に時間を割いていたのである。そうしたことを当然のこととして行い、辻野氏は大ヒット商品を次々と生み出していった。

ところが辻野氏は、意外にも、次々と異動を命じられることとなった。コクーンも潰され、スゴ録も担当から外されたのである。異動の理由も「上からの命令だから」で片付けられ、釈然としない形での異動であったようだ。

今のソニーの製品からは、辻野氏が手がけてきたような将来価値を生むものづくりが感じられない。今売れそうなものばかり単発的に生み、かつてのような新しいライフスタイルを提案するような商品開発が行われなくなってしまった。ソニーらしさとは、生活を一変させるような将来価値重視のものづくりにあったにもかかわらず、今では今売れそうなものばかりつくる現在価値重視のものづくりに変質してしまったのである。将来価値を重視する辻野氏がソニーを去ったのも、ソニーらしさを失ってしまったソニーに居づらさを感じたためであろう。皮肉にも、ソニーらしさを備えた人物がソニーから次々と去ってしまう結果となってしまっている(久多良木健や辻野晃一郎など)。なぜそうなったのか。

その原因は、企業精神が著しく劣化していることにある。ソニーでは辻野氏が事業展開する背後で、EVA経営やカンパニー制の導入などの変化があった。このことがかえって現場を混乱させ、短期的な利益を確保する方向に舵を取ってしまった(なぜEVAやカンパニー制が短期的な利益確保に結びつくのかについては様々なブログで論じられているのでここでは省く)。こうした変化によって、ソニーのものづくりが短期志向になり、将来価値重視のものづくりが失われたのであろう。そうしてその結果、ソニーからソニーらしさを備えた人物が去っていってしまった。

こうなると、ソニーの企業精神を滋養する人物がもういなくなってしまったことになる。それまでは例えば辻野氏がワクワクするようなものづくりを担っていたため、辻野氏を軸にして企業精神が社内で広く高められていた。ところがこうした人物がいなくなったら、はたして誰がソニーの企業精神を高めればよいのだろうか。誰がソニーの企業精神を次世代に継承すればよいのだろうか。そうした人物がいなくなってしまったことで、ソニーのカルチャーが変質し、企業精神が劣化してしまったのである。結果、昔のような需要を先取りするようなものづくりができなくなってしまった。こうなると、ソニーの理念は形骸化してしまう。企業精神を継ぐ者がいなくなり、「愉快ナル理想工場」はやがて忘れ去られていくだろう。

大前研一は、近年のソニーに対しては批判的である。特にトップマネジメントに対して否定的な意見を述べている。「ソニーのような会社では、井深大や盛田昭夫のようなソニースピリットを持った人物をトップに据えなければならない。ストリンガーではダメだ」というようなことを述べている。この意見は企業精神の劣化を指摘していることと同義だ。ソニーに限らず、アップル、グーグルのような新しさを創る企業は、その企業精神が特に生命線となる。その意味で、ソニー復活の鍵は、サムスンに学べとか日産の改革に学べとかではなくて、ソニーの企業精神を継ぐ者がトップやミドルに就いて企業精神を全社的に広めることにあるのだろう。

(以下の本はとても面白いので、セットで読んでみると良いかも知れません)。


グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれたグーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた
(2010/11/22)
辻野晃一郎

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経営の精神 ~我々が捨ててしまったものは何か~経営の精神 ~我々が捨ててしまったものは何か~
(2010/03/20)
加護野 忠男

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