影を蹴飛ばす
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綿矢りさの言語感覚
綿矢りさ、史上最年少で芥川新人賞を受賞した人です。

そのときの受賞作が短編小説『蹴りたい背中』。

で、これが抜群に良い。

何が良いかっていうと、文章能力の高さでしょう。
彼女の、五感を駆使した表現力と文章のリズムがずば抜けているんですよ。
例えば『蹴りたい背中』の冒頭。
 

さびしさは鳴る。耳が痛くなるほど高く澄んだ鈴の音で鳴り響いて、胸を締めつけるから、せめて周りには聞こえないように、私はプリントを指で千切る。細長く、細長く。紙を裂く耳障りな音は、孤独の音を消してくれる。気怠げに見せてくれたりもするしね。葉緑体?オオカナダモ?ハッ。っていうこのスタンス。あなたたちは微生物を見てはしゃいでいるみたいですけど(苦笑)、私はちょっと遠慮しておく、だってもう高校生だし。ま、あなたたちを横目で見ながらプリントでも千切ってますよ、気怠く。っていうこのスタンス。


『蹴りたい背中』P.7からの引用

彼女の文章には独特のリズムがあります。
読んでいて、心地よく、リズミカルに進んでいきます。
文体も今時の若者の書く文章になっている。
でも、それでいて悪い感じがしない。
これはきっと、相当に言葉を選ぶ能力に長けているからだと思う。
やみくもになれない言葉を使ったり、比喩を多用した文章って、どこかその言葉が浮いている感じになっちゃうけれど、
この人の場合は高い言語感覚が、そうならないようにしている。

新鮮。



そして、彼女の表現力の高さ。
冒頭の「さびしさは鳴る。」。
主人公はクラスの中で孤独を感じています。
教室の中で一人でいるときというのは、周囲のしゃべり声なんて、雑音です。
周囲のしゃべり声が雑音に聞こえてしまう、つまり、自分と周囲に友情なんてものはほとんどない。
だから、さびしい。
そのさびしさをかき消すかのように、主人公はプリントを千切る。
周囲で雑然と聞こえてくるさびしさから逃れるように、プリントを千切る。
こういった、教室内の独特の孤独感を見事に表現しています。
だから、すごい。

もう詳しいことは書きません。
僕が下手に書いても、かえってこの作品の価値を下げてしまいかねないので、
こればっかりは本を読んでみてください、としか言いようがありません。

蹴りたい背中 (河出文庫)蹴りたい背中 (河出文庫)
(2007/04/05)
綿矢 りさ

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